才女はただ地を這う

一応個室の中を覗いてみたが、詩織はいなかった。やはり雅の言うように、一度ここに来ようとしたが先客がいるのを見て場所を変えたようだ。


入れ違いに外へ出たのかも知れない。北校舎3階を鬼の速さで駆け抜け、東側の階段を一段飛ばしで下りる。


「……やっぱり……」


昇降口、詩織の下足箱には先程まであったローファーの代わりに上履きが乱暴に突っ込んであった。


一瞬このまま教室に戻ろうかと思った。幸い授業開始からまだ5分と経っていない今なら、保健室に行ってましたで難なく言い逃れは出来る。


私は、救われる。











……ああもう、こんな時自分の性格が心底嫌になる。
お節介、世話焼き。
何より詩織は……











可愛いから。