才女はただ地を這う

私は余程2階に下りてそこから西側の階段まで行こうかと思った。


だが2階は普通に授業をしており、見つかるリスクが高い。
しばしためらった末に、私の心の中の天秤は見えない物への恐怖より教師に発見される危険の方が重いと判決を下した。


「……ょしっ」


小さく気合いを入れ直し、前だけ見て歩き出す。


信じない人には本当に何でもないことなのだろうが、怖いものは怖い。


坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはよく言ったものだが、私の場合一度不気味さを感じてしまうと、枯れ尾花だろうと風にそよぐカーテンだろうと全てユウレイに思えてしまう。


正に、幽霊怖けりゃ何でも怖い状態。
木造の床を軋ませて歩きながら、五感のセンサーを限り無くオフに近付ける。
何も見えない聞こえない臭わない。


化学準備室の前で腰が砕けそうになりながらも、どうにか女子トイレの前まで辿り着く。