上手く話せない自分が嫌だった


ずっとずっと話してみたかった人が目の前にいたのに、話す所か目も見れなかった。



私と居ても息苦しいだけだったはずなのに…携帯を弄るでもなく、他の友達の所に行く事もしなかった高宮君の優しさ。
凄く嬉しかったはずなのに私は『ありがとう。』の一言も言えなかった。


それなのに「また。」と優しく笑ってくれた高宮君。


胸が痛くて、苦しくて…‥
こんな自分が嫌で仕方がなかった。







「澪はそのままでいい。」


凌治はそう言って私の頭をぽんぽんって、撫でてくれた。
俯いたままの私には凌治がどんな顔をしてるのか解らなかったけど、その声はその手はすごく優しく感じた。


「まぁ、応援してっから。」そう言って友達の輪に戻って行った凌治。


冷たい風が身体も少し腫れた瞼も冷やすけど、凌治が撫でた頭だけが暖かく感じた。