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「美羽~帰ろーっ。」


ロングホームルームが終わるとカバンを肩にかけたシオちゃんがあたしの席までやってきた。


今日は始業式とホームルームのみのため午前中で終わり。


「うんっ、ちょっと待ってー。」


カバンにもらったプリントや筆箱を入れる。その横では恋クンを囲むようにして女子が群がっていた。




群がるのはいいんだけどさ…


ちょいちょいあたし女の子たちに押されてるんですけどっ!


迫力に圧倒されながらも席を立つと教室をあとにした。





「なんだかスゴい人なんだね、恋クンって…」


はぁ…とため息混じりにあたしはつぶやいた。


「あ~、ね。カッコいいもんねー。いや、カワイイ系か。まぁあたしは全然タイプじゃないんだけど。」


大きなあくびをして答えたシオちゃん。

ホントに興味なさそう。



「それにカレ、カッコいいだけじゃなくって、恋のキューピッド様としても人気らしいよ。」


「恋の……キューピッド…様??」