そう言うと恋クンはしばらく目を閉じたあと、パチンと指をならした。



「……った。恋、何してくれてんの。」


「遥せんぱいっ!」




手品みたいに目の前に現われたのは紛れもなく遥先輩だった。


だいぶ久しぶりに見る遥先輩は相変わらずカッコよくて胸が高鳴った。







「………どういうつもり。」


「ミューちゃんが呼べっていうから☆」



「……帰る。」


「先輩っ!待ってください!」



帰ろうとする先輩を呼び止める。



あたしには時間がないんです!



「ちょっとぐらい話聞いてあげたら?俺は教室戻るから。」



恋クン………


いいとこあるじゃん!






恋クンが立ち去り、あたしと先輩の間に重々しい空気が流れる。



「なに、話って。僕はもう話すことなんてないけど…」



先輩の冷たい眼差しに負けそうになる。



しっかりしろあたし!