「ねぇっ、ユメ!見てみて!!
 またあの人来てるよ」


奈美が私の袖をグイグイひっぱりながら、指差した。

『え?なに??』


奈美の指差す方向を見ると、ガラスゲージの前に、一人の男性が居た


『あぁ、あの人?
 よく来るよね?』


「うん、ここ最近よく見るし、なんか変な人だよね〜。」

そう言いながら奈美は事務室へ入って行った


確かに奈美の言う通り、少し変わった人だった。

いつも、このペットショップに一人で来て
ガラスゲージの子犬達をずっと見つめてる、不思議な人。

歳は、22歳の私と同じ歳くらいかな?

メガネをかけていて、長身で色白、驚くほど細く弱々しい体系。

白い長袖のシャツに、ヨレっとしたジーンズ。


その服装がより一層、彼の弱々しさを引き立てている様に見える。