授業終了を告げるチャイムの音は、救世主だと思う。
「終わった…。」
べたっと机に突っ伏していると、背中を叩かれた。
「由宇希、起きな。」
「あぁ、杪。
何?」
「お客。」
杪の指す方を見ると、央が立っていた。
そして、何故か宏樹と話している。
ヤバイ?
宏樹に重なって央は見えない。
二人とも、今どんな顔してるの?
あたしは礼もそぞろに急いで入り口に向かった。
「央、宏!」
「おお、来た。
遅いぞ、真田を待たせすぎ。」
「真…田?」
真田って?
首を傾げて二人を見ると、央が笑って言った。
「俺の名字だよ。
真田 央って名前なの俺。」
「あ〜ぁ、思い出した。」
真田なんて呼ぶことないから忘れちゃったよ。
「で、何の用?」
「あのな、もうすぐ受験じゃん?
だから勉強みて欲しいんだ。」
「あたしに?」
央はコクコク頷いた。
「帰りに本屋寄って問題集買って。
いいかな?」
「いいけど…。
あたし、頭良くないよ?
どうせなら海斗にみてもらったほうが。」
「海斗の手ェ煩わせんの悪いだろ。」
あたしはいいの!?
ハアーッとため息が出た。
「わかった、やってみる。」
じゃ、そんだけだから。と帰ろうとする央を、宏樹が止めた。
「あのさ、1つ質問していい?」
「何?」
「由宇希となんでそんな親しいの?」
あ〜。
面倒なことを…。


