同居ゲーム

すみません、と不貞腐れながら謝った央は一歩後ろに下がってあたしにフライ返しを渡した。



「失敗しても文句言わないでよ。」


「言わねーよ。」



ふう、と小さく息をついてフライ返しを差し込む。



弾みをつけて持ち上げ、ひっくり返す。



フライパンの側面に乗り上げたものの、なんとか形は崩れなかった。



「よかったぁ…。」



脱力。



お好み焼き一枚にこんなに神経使ったの、料理初心者のとき以来。



「すげーじゃん、由宇希。」


「もう、誰のせいでこんなになったと思ってんの。」


「俺。
じゃあ、皿に移すぞ。」



さらっと受け流した央は手際よく皿に移し、冷蔵庫からソース諸々を取り出した。



「じゃあ、また戻ってくる。」


「もう来なくていいです。」



しっしっと追い出すと、央はペロッと舌を出した。



嵐が去った気分…。



リビングではおおーっと料理の登場に沸いている。



そろそろあたしのも焼ける。



皿を横につけ、あたしは完全に焼きあがるのを待った。



「さっきの、央が焼いたんだって?」


「あぁ、海斗。」



いつの間にやら、海斗がカウンターに座っていた。