ーーー…。
「いい臭い〜。」
美喜さんが鼻をひくつかせながらリビングに入ってきた。
「由宇希〜、今日のご飯なんなの?」
「「お好み焼き!」」
そろって答えたあたし達に美喜さんは驚いた顔をした。
「えっ、何か?」
美喜さんは少し間を置いて言った。
「央、いたの。」
「ヒドッ!」
央は大袈裟に倒れ込む。
「ちょっ、央、邪魔!」
足元にうずくまられたら凄く。
軽く蹴飛ばすと、央はゴロゴロと転がって道をあけた。
あたしはそこを急いで通る。
「美喜さん、みんな呼んできて。
もう出来たから。」
「はーい。」
よっ、と身体をソファーから起こし、美喜さんは廊下に出て行った。
「央も手伝って。
あたし焼くから、みんなのぶんの皿と箸出して。」
「はいよ。」
思ったより素直に起き上がる央。
よかった、ごねられたら面倒だった。
あたしは央とすれ違いにキッチンに戻り、フライパンを火にかけた。
火に、と言っても、クッキングヒーターだけど。


