冷たい。
空気が冷たい。
寒い。
これは、12月の末だからじゃなく。
「海斗〜…。」
「何?」
海斗の凍るような態度のせいだと思う。
笑みが怖い。
ブリザードが吹き荒れているかのようだ。
「あたしが悪かったから、許して。」
美喜さんが頭を下げるが、海斗は
「やだなぁ、美喜さん。
許してって何を?」
こうだ。
もう別にいいじゃん、と思うけど、止めるとあたしにまで火の粉がかかりそうで。
あたしはソファーに座っている岩谷さんの隣に座った。
「なんか、怖いですね。」
「まぁ、自業自得だ。」
岩谷さんは口を引き結んだ。
「岩谷さん、助けてあげればいいのに。」
「無理だ。
俺も見てしまった手前、な。」
ですよね…。
あたし達はため息をついて、二人を見やった。
と、気付いた美喜さんがあたし達に泣き付いてきた。
「あんたも何か言ってよ〜。」
困り果てた、弱った表情で岩谷さんにすがりついた。
「あんたも謝ってよ。」
「…。
海斗、悪かった。」
海斗は答えず、ニッコリ笑った。