次の日の朝。
あたしはちょっと複雑な気持ちで教室に入った。
クラスメイトはまだこないだのことを忘れてはいないだろうし。
宏樹もだろうし。
もう、中学最後の年、しかももう肌寒くなってきたこの時期、こんなことで友達と気まずくなりたくないのに。
足元を見つめ、自分の席まで進む。
彩華は何も反応しなかった。
自然とため息が漏れる。
彩華とは高校も違うから、ここで切ればそれで終わるだろう。
でも、なんか嫌だ。
「はよ。」
「おはよ。」
何となく、気まずい雰囲気が流れる。
「昨日の、忘れろ。」
落ち着いた声で言われ、あたしは頷いた。
「あたし、宏と友達でいたい。
それは宏には酷?」
「俺は別に。」
「よかった。」
彩華は?
訊こうとして、止めた。
「じゃあ。」
手を上げる仕草をして、宏樹は友達のところに戻っていった。
凄いなぁ、宏樹は。
友達がたくさんいる。
女の子にも人気あるし。
きっと、小学校が違ったら、話す機会もなかったであろうあたし達。
運命を信じるわけじゃないけど、少しはそういう巡り合わせもあるんじゃないかと思うようになった。
宏樹もだけど、海斗達とも。
もし、あたしのお父さんが再婚してなかったら。
もし、あたしが同居ゲームに選ばれてなかったら。
少しのことで歯車が狂う。
もしも、………。