この間のファーストフード店の端の席に、また座った。



さっき、何とか気まずい1日を終えて、彩華と宏樹とやってきた。



長い長い沈黙が続く。



耐えかねてあたしは宏樹に話し掛けた。



「この間の人、最近仲良くなった人で、央っていうの。
いい人だから。」



声が尖ってしまった。



言ってから、内心頭を抱える。



「うん、わかった。
ゴメンな、八つ当たりだよあれ。」



宏樹の返事が柔らかかったので、ホッと息をつき、緊張も解けた。



「央も気にしないって言ってくれたから。
宏も友達になってみたら?
ホントいい人だから。」



馬鹿っぽいけど、と付け足すと、失礼だろと言って笑われた。



「で、本題に入って。
あたし、何かしたかな。」


「それは、だな。」



一気にテンションの下がった宏樹に慌て、あたしは努めて軽い口調で言った。



「気を使ってもらう必要はないから。
ズバズバ言って。」



と、彩華が本当にズバッと言ってくれた。



「宏樹が別れたいって言ってきたのは、理由の一つにあんたがいるから。」


「え、あたしが邪魔でってこと?」



存在否定か?と彩華に訊くと、違うと首が横に振られた。



「あんたが好きなんだって。」



嘘ぉ。



向かいの宏樹を見ると、無表情でテーブルを見ていた。



「嘘、本当に?」


「うん。
だんだん好きになったって。」



既に涙声だ。



「あたし…。」


「気にするな、由宇希。
お前のことだけが理由じゃないから。」


「一番は?」


「彩華に疲れた。」



言われた一言に、彩華が泣き出した。