次の日。
あたしは宏樹を呼び出した。
「何?」
教室から首を傾げて出てくる。
「ここじゃ人いるから、外行こ。」
昼休み中に話終わるかな、と心配になりながらも手招きする。
「いいけど…。」
不思議そうな顔をしながら、宏樹は嫌な顔をせずについてきてくれた。
中庭まで無言で歩く。
もう何を言われるのかわかったのかな?
「やっぱり、彩華とのことか?」
立ち止まった途端、切り出された。
「うん。」
図星なので素直に頷く。
「ホント、おかしいから。
相談のるよ。」
「大丈夫だよ。
由宇希は心配すんな。」
「するよ。
宏、やつれてる。
彩華はスネてる感じだけど、宏は疲れてる感じだよ。」
困ったように頭を掻いて、宏樹は手近なベンチに腰掛けた。
「お前、そういう感は鋭いんな。
そっか、俺そんなおかしかったか。」
「ちょっとね。」
言いつつ隣に座る。
「あたしは多分、宏の味方だよ。
いっつも宏が苦労してるように見えるからね。」
本当に、いつも謝るのは宏樹なのだ。
一方的に怒るのは彩華。
だから、今回も同じだと思っていた。
ところが、宏樹は今までに見たことのない深刻な顔で俯いた。
「違うんだ。
今回は完全に俺が悪いんだ。」
小さな擦れた声。
あたしはえ?と聞き返した。
でも、宏樹は頭をポンッと叩いて立ち上がった。


