ボケ〜ッとしているあたしを、央がつついた。
「大〜丈夫ですかぁ?」
「ん〜。」
「大〜丈夫じゃないですかぁ?」
「ん〜。」
「どっちだよッ。」
突っ込みに答える余裕がありません。
あたしは重力に身を任せ、後ろにバタンと倒れた。
(あ、後ろソファーね)
「由宇希、どうした調子悪い?」
「海斗…。」
大丈夫だよ。
という意味で手を上げる。
体が悪いとかじゃないから。
心だよ、心がね。
「海斗。」
「どしたの?」
枕元に座る気配がした。
目の上に被せた手を少しずらす。
「今晩、部屋行っていい?」
「おっ、誘ってる!?」
「黙っててよ央。」
すいませんと口を挟んだ央が萎れる。
「なんかあった?」
「うん。」
それ以上何も訊かず、海斗はいいよと言ってくれた。


