唇をゆっくり離すと、俺を上目使いで睨む真愛。

そっと触れるくらいのキスをして。

「ごめんなさい」

と、肩をすくませ謝ったら、はにかんだように笑顔になる真愛が堪らなく愛おしいと思えた。


耳まで熱くなる俺の顔は、赤くなってるんだろうなと考えると、かなり恥ずかしいんでないか?


照れ隠しに、真っ直ぐ前に目を移しハンドルを握る。

「じゃ、帰るか?」

「…大樹は?もう一度って…。まだ言ってくれてない」

拗ねた様な口調で言うから、驚いて振り向くと淋しそうに俯いていた。


えぇっ!?もう、充分じゃないか…?

おいおい…、何回も言わすなよな…。


でも…、真愛が望むなら何度でも言うよ。

声が枯れて出なくなるまで何度も…。


「好きだよ」


だけど、言葉にすればする程、恥ずかしくなるから…。

顔は見れないけどさ。


「…もっかい?」

って、様子を伺う俺も俺だ。


「私も好き」

優しく微笑んで言い返した。


いや…、嬉しいけど、それは反則だから。


強引に唇を奪う俺の目には、大きな瞳を全開にした真愛が映った。


…だから、キスしたくなるんだって。


いつまで経っても、帰れないつーの…。