リクは本当に自分が何をするべきか決めかねていた。
ティアのように士官学校へ行くことも考えた。
すぐに官僚になる道もあった。
あらゆる道を検討してみたが、
どれもいまいちで
ピンとこないのだ。
リクは卒業式の帰りであるこの日も、
自宅に向かって歩きながら、
今後自分は何をなすべきか、
考えていた。
ところで、
リクの自宅は王宮のすぐ側にの住宅地の中にある。
広大な王宮の敷地の東隣は、
高級官僚が政府の要人が住む住宅地が広がる。
リクの父親は、
外務大臣補佐の職についていた。
すでに他界したリクの祖父も政府の要職にあった。
そしてリクは幼少の頃よりここで過ごしている。
「リクぅ!」
自宅近くまで帰ってきたとき、
とある家の庭から手を振る少女がいた。
ピノア・ル・セリウスである。
リクより一つ年下の幼なじみであった。


