基地の内部には、


どこから持ってきたのか、


木箱が並べて備えられていて、

椅子の役目を果たしている。


「座ろうよ」



リクがピノアに言う。



基地の中は、


成長した2人にはやや狭い。



中の木箱に座ると、


リクとピノアはびっくりするほど肩を寄せ合う形になった。



これには、


さすがの幼なじみの2人も


どきどきしてしまったようで、

お互い無言のまま、


密着してしまった腕と肩に意識を持っていかざるを得なかった。


子どもの頃は、


何を照れることもなくここに並んで座っていた2人が、


今はその耳朶まで赤く染めている。


特にピノアは、


さっきから下を向くばかりで、

顔を上げることも、


何かをしゃべることもなかった。


リクに他意はなかった。



ただなんとなく、


秘密基地のことを思い出して、

行ってみようと口にしただけだった。



こんなムードになってしまうなんて、


想像もしない展開だった。



空気に耐えかねてリクがピノアに声をかけようとしたとき、


林の向こうでカサカサっと何かが動く音がした。