*あたしの好きな人*

「‥‥龍‥‥‥‥」


毎日あんなにケンカしてるの?


何か原因があって
あんなふうに暴れてるの?



龍はケラケラ笑っている。
でも龍の手は相手に容赦なく
降り掛かっている。




あたしはその光景から目が離せず、
その場にしゃがみこんだ。






「お?何してんのこんなとこで。一人?」


いきなり誰かに話し掛けら
顔をあげると、そこにはさっき
龍たちの周りにいたと思われる
男が立っていた。


「俺らと遊ぶ?」

「いえ‥‥けっこうです。」

あたしは無視して立ち上がり、
場所を変えようと歩き始めた。






グイッ

「きゃっ!」

その男は急にあたしの腕をつかみ、
引っ張った。


「離して!」

「いいじゃん。暇なんだろ?あっちでおもしろいことしてっから一緒に見ようぜ?こんなとこに一人でいたら危ないよ?」

あたしからすれば
あんたのほうがよっぽど
危なそうだし。


「離して下さい。帰ります。」

「まぁまぁ。ちょっと話そうよ。可愛い子連れてけばあいつらも喜ぶし。」

そう言って男は無理矢理
あたしを引っ張った。




「嫌!離して!」

あたしはおもいっきり手を振り払って
走った。


男はあたしを追いかけてくる。


嫌‥‥怖いよ‥‥
助けて‥‥‥‥龍‥‥‥‥