鳥居は真っ赤になった俺の顔を指さして笑い転げた。

 忍は笑いを堪えていたが、その前と違った目で俺を見ている様な気がした。

 確かに俺は童貞だ!だが、やり手の鳥居からの聞く話や、その手のあらゆる雑誌などで情報は十分知っているぞ!
 
夜が更け、翌日に学校の部活の早朝練習があるというので、忍は兄に追い出されてしまった。忍は立つ時、俺を見た。

「吾郎さん!じゃ約束だよ!」
「え!あ・・・ああ」

 襖戸を閉め掛けてふとこちらを向いた。
「吾郎さんて童貞じゃないよね!兄貴の友達で信じられないもん!」

 ふふと笑って、軽やかな足音を立てて上に上がっていった。

 後ろ髪を引かれる思いで、忍の後ろ姿を見送った。酒の封印を切った俺は、痛飲した。
 鳥居は興味深げに俺を観察していたが、その後、忍のことは何も言わずに飲み続けた。

 朝、鳥居の部屋で雑魚寝をしていた俺は、忍の行ってきますという声に目を醒ました。

 玄関のガラス戸がぴしゃと閉まった。