その時、 「……あ…」 目の前で歌っていた 竜人と目があった気がした。 一瞬ドキッとしたけど。 ……いやいや。 会場は薄暗いし、私の席はけっこう遠い。 でも…… こんなに人がいるのに、 私だけを見ている気が…… そして、竜人の口が動いていた。 なになにー? 『バ』 『カ』 はぁ!?バカっ!? 「何でいきなりバカなんて、言われなきゃいけないのよ!!」 私の叫びは周りの歓声にかきけされた。