「………はぁ」
あの後、当然授業なんて身に入らなくて。
気がついたらもう家の前についていた。
「竜人…もう帰ってるし……」
外から家を見ると、すでに明かりがついていた。
私は、さっき天宮先生に言われたことが頭から離れなくて、
なかなか家の扉を開けられないでいる。
天宮先生かなり美人だし、竜人ともすごくお似合いだ。
私なんかより、天宮先生のほうが……
そんな気持ちが、頭の中で渦巻いている。
天宮先生と付き合うってことは、私と別れるってこと……
……竜人はもう私のことなんて好きじゃないのかも。
………あーあ。
私、振られちゃうのかな……
考えれば考えるほど、私の気持ちは悪い方向にいってしまう。
「………ううん。……私は、竜人を信じる。あんな女になんか負けない」
首をふって、そう自分に言い聞かせると、私は家の扉をゆっくりと開けた。
