…………え?
確か昨日の夜、竜人は仕事に行ったはず。
あれは嘘だったの……?
しかも、よりを戻したいなんて……私と別れるってこと?
「……あなたの話を信じるとでも?」
――そうだ。
天宮先生が嘘をついてる可能性だって大いにある。
「じゃあ竜人に聞いてみたら?ホントだって言うはずだから」
勝ち誇ったような顔をしながら、先生は私を見た。
「ッ…………」
無言で私は先生を睨み返す。
まるで、もう竜人は自分のものだというように振る舞う先生に、無性に腹がたった。
「……私は竜人を信じます」
勢いよくイスから立ち上がると、私はそう言い残して乱暴にドアを閉めた。
閉める寸前に見た先生の顔は、とても楽しそうに笑っていた。