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「……っていう感じ。結局何も聞けなかったの」
全部話し終えた私は、はぁっ、とため息をついた。
香奈は頭をポリポリとかいて難しい顔をしている。
「…うーん。なんかそれって……」
「……え?何て?」
香奈が何か呟いていたけど、小さすぎて聞き取れなかった。
―そんな時
「ピンポンパンポン」
「1年3組の青谷愛花さんは今すぐ保健室へ来てください」
なんて放送が入った。
「保健室ってまさか……」
慌てて香奈のほうを見ると、
「100%天宮だね」
コクリと頷いて、こう言った。
「何でいきなり呼び出し?」
「さぁね。とりあえず行ってらっしゃい」
「えぇ!?行くの?」
「行って、私が竜人の彼女ですけど何か文句あります?って言うのよ」
と言いつつ、香奈は無理矢理教室から出そうとする。
「ちょっと待ってよ!まだ心の準備がぁー!!」
とか叫んでる間に、もう保健室の前まで連れてこられた。
「んじゃ頑張って!!」
と言い残して香奈は走り去った。
……う゛ぅ。香奈の馬鹿。
でも逃げてても仕方ないよね。
「……失礼します」
コンコンとノックをして、心なしかいつもより重たく感じさせるドアを開けた。