「って言うか、昨日帰ってから竜人に天宮のこと聞いてみたの?」
将希先生に机から退かされて私の机に戻った時、香奈が唐突に言った。
「…………え?」
敢えて避けていた話題を聞かれて、私はギクッとした。
「えーと…実はね……」
意を決して、私は昨日の夜のことを話すことにした。
――昨日の夜。
結局無言のまま家についたその時、
竜人の携帯が鳴り響いた。
メールだったみたいで、しばらく画面を見つめてたけど、
すぐにしかめっ面をして、
「悪い、……急に仕事が入ったから今から出かけてくる」
と言って、家を出ようとした。
その時。
「……ッ!竜人!」
とっさに私は竜人の腕を掴んでしまった。
