また、月日が過ぎ。
肌寒くなってきた今日このごろ。
そんな私の前には、
―夢の国が広がってたりする。
「愛花!アレ乗ろうぜ!」
隣で、目をキラキラさせながら満面の笑みを向けるのは、
他ならぬ、桜庭竜人。
アイドルで、私の彼氏だ。
「ちょっと!?あんまりはしゃがないでよ!バレたら大変なんだよ!」
今にも飛び出さんばかりの竜人の腕を慌てて掴む。
「はいはい、わかってるって。」
竜人は、少しはにかみながら、誰もがときめくような笑顔を私に向ける。
そして入り口に向かって歩き始めた。
そんな顔されたら何も言えなくなるじゃん……
「……もうッ!」
半分呆れながら、私は竜人の後を歩くけど。
突然、竜人がピタッと止まる。
「……ほら、手。」
そう言って、私に右手を差し出した。
久しぶりのことに少し驚いたけど、
「……うん♪」
そう言って、私はギュッと手を握り返した。
……竜人のこういうちょっとした、不器用だけど優しいとこ、好きだな。
そう思いながら握った手は、大きくて、あったかった。