*竜人side*
「……1つ聞いてもいい?」
まだ少し涙目で、目をうるうるさせながら、愛花は俺の顔を覗き込む。
「んー」
あぁ、可愛いな、と思いつつ返事。
「何で早く帰れたの?」
ズイッと詰め寄るように、愛花は俺をまっすぐ見つめる。
う゛っ、と俺は言葉をつまらせた。
「あぁ、それは……内緒♪」
ニヤッと、俺は曖昧に笑った。
「えぇー、何で?」
ブー、と口をつきだす愛花をからかいながら、俺はまた笑った。
……何でって。
愛花に会いたくて、撮影終わった途端に猛スピードで帰って来た、何て。
カッコ悪くて言えないっての。
次の日、竜人が友梨さんから大目玉を喰らったのは、
また、別の話。