―ガチャ 扉が開くと。 「ただいま」 さっきまでテレビの中にいた時と同じ、 黒いスーツをビシッと着こなした竜人が、 にっこりと微笑んでいた。 「お帰り」 私も笑顔で返そうとするけど、目に溜まった涙が邪魔してる。 ―ポンポン そんな私を見て、 竜人は、大きな手で私の頭を軽く叩いた。 「……ごめんな?」 とても辛そうな顔をして、竜人が私の顔を覗き込んだ。 「……ッう…りゅう…と…」 ……泣かないって決めたのに。 竜人を見たら、閉じ込めていた気持ちが溢れだした。