季節は秋に差し掛かり。


学校の前のイチョウの木も、色づいている。


「う゛ぁー」

「なぁーに景気悪そうな声出してんの」


香奈が私にデコピンをした。


「だぁってぇーー、竜人が」
「ハイハイ。その話は聞きあきたってば」


ジメッとした教室よりもジトジトしてる私。



……だってね?


竜人がね……?


「『ドラマで忙しくて全然会えないのぉ〜』って、ノロケにしか聞こえないわよッ!!」


香奈はキッと私を睨んだ。

「でもッ!!」



でもッ!!



「やっぱ寂しいよ……」

「そっかぁー」


よしよし、と香奈は私の頭を撫でてくれる。


その優しさに、少し涙がでそうです……