―それから10分後。
竜人からバイトについてを大まかに教えてもらった。
期限は3ヶ月で日給6000円だということ。
とにかく、竜人のいうことを聞いたり家事をやればいいってこと。
奴隷なんてこと言われたから、とんでもないことさせられるのかと思ったけど、
意外と普通の仕事だったのでホッとした。
「っていうことで。今日からここがお前の家になるから。」
「はぁ……」
もう反抗する気もなくなった私はただ頷いた。
「ま。せいぜい頑張って。」
そう言って竜人は私の頭をポンポンと叩いた。
―――その瞬間。
突然、胸の奥がモヤモヤするような、変な感じに襲われる。
……あれ?
この感じ。前にもあった気がする。
落ち込んでる私を優しく撫でてくれる大きな手。
たしか前にも……。
「じゃあ先に風呂入って。もうけっこう遅いし。服とか持ってきてるでしょ?」
竜人の声でハッと我にかえった。
「うん!ありがと」
竜人に促されて私はそそくさとお風呂へ向かった。
――さっきのはなんだったんだろ?
そんな気持ちが頭によぎったけど、
「ま、気のせいだよね……」
と呟いて、私は足を進めた。