「いらっしゃいませー」
「またお越し下さーい」
遠くで忙しそうに店員さんの声がする。
ちょっと豪華なテーブル。
美味しそうなケーキ。
すごくいい匂いのするコーヒー。
セレブが通いそうな、普段の私なら絶対に入れないような喫茶店の窓側の席。
そこの席に私とおばさんは向かい合って座った。
ふと外を眺めると、仕事帰りのサラリーマンや、学校帰りの学生でごった返している。
「さっき電話でも言ったけど……私に合いそうないいバイト紹介してくれない?」
とにかく急いで伝えたかったから、席に着いてすぐに私はそう言った。
「あんたに合うバイトって言ったってねぇ………なかなかそんなの無いのよ?」
困った表情を浮かべるおばさん。
「わかってるよ〜、どうせ私は面倒くさがりでおっちょこちょいだよ……」
私は、頬っぺたを膨らましてちょっと拗ねてみた。