―――トントンッ―――


控え室のドアがノックされた。


「は、はい。」


あたしが返事をすると


「お疲れっ!」


善輝が入ってきた。


「善輝…」


善輝はあたしの演技指導を側でずっと見ててくれた。


撮影が開始されないのもあたしのせい。
善輝はリハーサルは一発OKでずっと待たせてる。


「ごめんね。待ちくたびれたよね?」


そう言って俯くあたしの頭を善輝が優しく撫でる。


「そんなことないから。気にすんな。」


頭に乗せられている善輝の優しい手が温かくて…
自分が皆に迷惑をかけてるのが嫌で…


涙が出てきた。