そう言った善輝の肩は震えてた。


その光景を見た途端に鼻の奥がツーンと痛くなって目頭が熱くなった。


ヤバい…泣きそう…。


だけど今泣いちゃったら、別れを切り出してるからこそダメだと思った。


「鍵、返すから。これからも頑張ってね。」


そう言って、鍵をテーブルの上に置いた。


これ以上、ここには居れない。


そう思ったあたしは玄関に行こうと体の向きを変えた。


その時、善輝があたしの腕を掴んで小さな声で


「待って。」


そう言った。


「何?」


泣きそうなのを隠すために素っ気なく答える。


「最後に一回だけ、抱き締めてもいい?」