そして、自分の席付近で着替えている紀美代を何となく横目でちらりと見た。


         ★


そして問題の放課後と成った。


あたしは紀美代に指定された場所に、なんの考えも無しにぶらぶらと歩いて行った。


そして遠目に紀美代が見え始めた処で胸の前辺りで小さく手を振って、紀美代に挨拶した。それに気が付いたのか紀美代も小さく会釈して返してきた。


「なぁに、大切な用事なの?」


紀美代の目の前まで行ってあたしは、何気無く尋ねると、彼女は突然大粒の涙をぼろぼろと流して泣き始めた。


「ちょ、ちょっと紀美代、どうしたのよ」


涙をぼろぼろ流しながらも紀美代は、きっとあたしを見上げた。