則子が変な頼み事をしなければこんな身も凍る様な体験をする必要なんて無 かったんだ。 「有ったとしたら…」 あたしは簾笑顔を張り付けて則子にゆらりと顔を近付けた。 「あ…うまく行ったんだ。あんたがそういうリアクションする時は、対外上手く行ってるものね!」 則子はあたしに明るく言い放った。 ついでに右手も差し出して来る。 あたしとしては、そう簡単に渡すにはちょっと抵抗が有る。 なんせあの体験だからね。