「良いもんだよ好きな子が居るって」


弟はそう言うと、もそもそとソファーから立ち上がり、頬を染めながら自分の部屋に引っ込んでいった。


何となくうらやましさを覚えてあたしはそれを見送った。


「好きな子が居るのも、良いもんか…か」


ソファーに置いて有ったクッションを一発ボスンと叩くとあたしも自分の部屋に向かって歩き出した。


う~ん、弟は確実に成長しているらしい。


其れに比べてあたしはどうなんだろう。