「おっすぃ貴子!」


則子があたしの背中を、ぼすんと叩いて、朝からハイテンションぶりをアピールしていた。


「あ、則子、おはよ」


あたしも彼女に明るく返事をして答えた。そして二人で教室に入ると、それぞれの席に向かった。


「貴子さん、お早う御座います!」


幸の声だ。何か何時もと違って、テンションの高さが5オクターブ位高い気がした。


「あ、ああ、お早うさ…ち…」


あたしは、幸に向って振り返った瞬間、彼が別人に見えた。


心臓がどくんとひとつ大きく脈打つのを感じると同時に、自分の意識が、みるみる幸に向って吸い取られて行く様な感覚に襲われた。


「さ、幸雄さん…」