ゴンッ!


頭に激痛が走った。


「ってぇ……」


次に俺の視界に映ったのは、天井だった。

今の俺の状態を見てみると、足だけベッドに乗って、上半身は床に仰向けになっていた。


どうやらベッドから落ちたらしい。寝てたのか、俺。


ていうか……あれは夢だったのか?


勿論、今この部屋には、兄貴の姿は跡形もなく消えてなくなっている。

……そもそも、本当に兄貴がここにいたんだろうか。あれは、本当に、兄貴だったんだろうか。


普通に考えたら、あれは夢だったんだと思うはずだ。

実際、夢だったんだ。


でも、妙にリアルだった。はっきりと、覚えているほどに。



「勇太―。ごはんよー」

階段の下で母さんが呼んでるのが聞こえた。


時間を見てみると、七時過ぎ。

そんなに寝てたのか、俺。


俺は、体を起こして立ち上がり、部屋を出て行った。



あれは、なんだったんだろうか。

夢だよな? リアルだったけど、そう思うしかない。


そうだ。別に俺は漫画の主人公みたいに霊感があるわけじゃない。幽霊なんて見えるわけないだろ。


俺はため息をついた。


何で……こんなタイミングであんな夢見るんだよ……