12‐2 そうぎや




「いかがですか?そうしきくらいあげてやりませんか?」



みずぼらしいおじさんが言う。



「すいませんが今はそんな話を出来るわけじゃないです」



ゆうやが答えた。



「そうですか。また考えていて下さい。日をあらためてまた来ます」



そう言うと頭一つ下げずに 部屋から出ていった。



「…あきちゃん、大丈夫?」



ベッドでねむるあきは外のふうけいをながめている。



うつろな目だ。



「つかれてるだろ?何か売店で買ってくるよ。」



「…」



ゆうやが立ち上がろうとするとスーツの男が二人いた。



けいさつ手帳を前に出して、



「短刀直入にたずねますが昨夜、何がありましたか?証言していただければ傷害とふじょぼうこうで起訴することも可能です。その場合は彼の両親からいしゃりょうをいただけるでしょう…。ただそれだけですがいくぶんかは気ははれるか、と」



「もうしわけありませんがお帰りいただけませんか?」



ゆうやが答えた。



「きみが第一発見者の如月ゆうやくんだね?」



「ええ。おれが知っている話はすべて話しました。それにけいさつだから、と何をしてもいいわけじゃないでしょう?」



「失礼ですが私達も仕事ですので」



けいじは向き直り、あきちゃんを見た。



まゆをひそめる。



「水沢あきさん。あなたのご両親から被害届けが出ています。あとはあなたが証言していただけないとわれわれも捜査をはじめられないのです」



「…」



「わかりました。また日をあらためます」



名刺をゆうやに渡し、けいじは部屋をあとにした。