4‐7 せきにん




「せきにんをとるっていうのはそういうことじゃない」



缶コーヒーを片手にしせつの中庭にあるベンチで藤田さんに辞めることをつげた。



「それはにげているだけだよ。」



「…どうしたらいいんですか?」



「やりとげる」



「…」



「ぼくはね、このしせつにいるすべての人はじぶんの家族だと思っているんだ。」



話は続く。



子供がほしかったことふにんちりょうをしたこと。それでも子供ができなかったこと。



「ぼくはきみがうらやましい。正直、じぶんとかないの子供へのあこがれをしせつの人達に重ねているだけなんだ。ぼくだってほめられた人間なんかじゃないよ。」



「…」



「きみは父親になるんだろ?子供が出来ればめをそむけることなんて出来ない。仕事のようにやめることなんて出来ないんだ。いやなことがあってもぶつかることがあっても共にいきていかなければならない。人は一人では生きていけないんだ。それだけは忘れちゃいけない。」



ぼくはなんて答えたか覚えていない。



ただ続けよう、と思いなおした。



代わりにアルバイトをやめよう、と決めた。