リョクがいなくなって
も、何も変わらずに、
月日は流れていった。


私は高校を卒業し、
社会人になった。

大学に行くつもりだっ
たけどやめた。
親は発狂しそうに怒っ
ていたけど。

私は早く自立したかっ
た。
そして、
リョクの家の近所に住
み続けることが、
ずっと辛かった。

近くを通るたびに思い
だした。
ここでリョクと言い合
ったな、
ここでリョクに助けら
れたな、
ここでリョクは自転車
を走らせてたな、
ここで、リョクと・・・

とにかく毎日リョクと
の思い出がとめどもな
く脳裏に浮かんできて、
リョクの姿が現実のよ
うに心に映し出されて、
私を苦しめた。

私はその残像から、
思い出から
逃げ出したかった。