in 由紀の部屋 Time 夜7時

ガラッ

「あ、圭。」アタシは勉強している最中だった。

「馬鹿なくせに勉強してどーすんだよ。」圭は鼻で笑う。

「うるさいなあ、馬鹿だからするんでしょッ!」アタシは怒りながらペンを走らせる。

「そういえば、用件は??」

「今日の帰りの公園の続き。」そう言うと、後ろからぎゅっと圭はアタシを抱く。

「けけけけけ・・・圭?!」アタシはびっくり。今日2度も優しく抱かれるとどきどきする。

「俺、ずっと前から、由紀のこと好きだよ。」

「・・・はっ?え??」アタシの目が点になった。

「やっぱ気づいてなかったんだ。」圭は小さくため息をつく。

「だだだだってッ!いつから?!」

「俺も、わかんねーよ、けどすっごく前から。その岡崎って奴より前から。」

「そうだったんだね・・・。」アタシは顔を赤くする。

「うん・・・。」圭は珍しくおとなしくうなずく。

「あのね、圭。アタシ、岡崎にも告白されてるし・・・今・・・。」

「うん、今じゃなくてもいいから、このままでいさせろ。」急に俺様口調になる。

「うん・・・。」

どうして、選べないのだろう?
岡崎も圭も嫌いじゃない、好き。
でも、答えからまた逃げたくなっている自分。

in 由紀の部屋 Time 夜9時

そのあと、圭は「じゃ。」と言って窓から自分の部屋に帰っていた。

アタシはお風呂に入って悩んでもいた。
だけど、どうしても決まらなくて今にいたる。

「ふぅ~・・・。」深いため息をつきながら、シャーペンを握ってみる。

そして近くにあったルーズリーフの束の1枚を取り出して、
さらさらっと書き表してみる。

岡崎は好き?圭は好き??
岡崎は友達?圭は幼なじみ??

「あ~もう!これじゃ決められないよッ!」

ベットに寝転ぶ。

岡崎は好き、友達として。って思ってたけど告白されて意識している。
圭も好き、だけど・・・。

そのままアタシは眠りについてしまった。