カラフル・バニー

イチが渚に話しかける。距離があるので、内容は分からない。


「浬子ー!」


バンガロー方面から、あたしの名前を呼ぶ声がしたので、振り返ると栄が走っていた。


「どうしたの?」

「いや、別に大した用は無いんだけどさ、浬子が見えたから、走ってきた」

「そっか。お疲れ」

「ははっサンキュ。てかさ、もしかしてさっき渚のこと見てた?」

「は!?見てない、見てない」


図星を突かれ、うろたえる。


「はっはぁん。嘘だね、オラ、吐いちゃいなよ!私も彼氏いるしさぁ。秘密ごとは、無し!これ、友達の鉄則よぅ」

「え!嘘、栄、彼氏なんかいたっけ?」

「最近、めでたく出来ちゃいましたーっ。お相手は、隣校の幼なじみ!もう、長年の片思いがやっと実ってね」


楽しそうに笑う栄の笑顔。本当に幸せなんだということを、物語る。


「そうだ。私なんかより、浬子!私にここまで吐かせといて、無言なんてことは許されないからね」

「…分かった。話すから、ここじゃない所行こう」