カラフル・バニー

「なんのタイミングだって言うんだよ。渚が捕られてもいいのかよ」

「捕られるのは嫌だ。だけど、渚は物じゃないよ。縛り付けたくない」


イチがあたしを睨み付けるように見下ろした。あたしは、黙ってイチの瞳の奥を見つめる。


「勝手にすれよ。渚があの女に移っても、俺には関係ねーしな」

「ごめん。イチ」

「俺は…お前が1番渚に、合うと思うんだよ。だから、人事だけど放っておけないし、役に立ちたいと思う」

「ごめん。本当にごめん…」

「…行くか、浬子」


イチが静かにドアノブを引いた。ギシ…と鈍い音がする。


「おい」

「あ、すまない。早智子忘れてた」

「肉と一緒に、お前も食ってやるぞ」

「おー怖っ」


イチとの会話中、さっちゃんが気を使ってくれたのが、分かった。