「イチ!びっくりさせないでよ」

「お前が勝手にビクついたんだろ。相変わらず意味分かんねぇ奴だな」


そう言って笑い、あたしの頭部を軽く小突く。
小さい頃から変わらない懐かしいイチの笑窪がフッと出来た。

「あたしはイチの方が意味わかんないね」


負けじとイチに対抗してみたつもりだったがやっぱりイチには敵わない。


「そういやさ、お前のクラスに渚いるじゃん」

「え!!渚ってあたしのクラスだったの!?
あ、そうかクラス替えしたばっかだもんね。
それに渚、全然教室来ないし。そりゃ、気づかないわな」


イチが大きく目を見開きあたしを見た。


「渚ってお前…知り合いだったんだ」

「あー…うん。って言っても半分強引にだけどね。そういうイチこそ」

「俺は昨年、教室一緒で…喋ったら案外、気合うからさ」

「渚、あたしには普段冷たいくせに。それに背は豆みたいに小さいくせに、やけに強がる
んだよね」


ふんっと鼻を鳴らし渚への不満をイチにぶちまける。