君が為に日は昇る

「よし出来た!まったく傷作ったら早くいいなさいよねー!」

「あぁ…ありがと」

「じゃ!あたしはご飯の準備があるから!」


得意顔で去っていく彼女の後ろ姿を見送る。


「む…」


腕を見れば過剰に巻かれた包帯で倍に膨らんでいた。手当が不得手なのはいつものことで。


「あいつはほんとに上達しねーなぁ。ほれ、腕貸してみろ」


夜太が、ほどいて巻き直すかと、思案しているとどこからか源五郎がやってきて包帯を巻き直してくれるのもいつものことだった。


「あー!せっかくあたしが包帯巻いてあげたのにー!」

「あ…!」

「おーぶきっちょ娘がきたぞー」

「なんですってー!」


こんな日常が暖かくて。

「もう一回言ってみなさいよ!」

「あぶっ!お前包丁しまえ包丁!夜太!お前盾になれ盾に!」

「…やだ」

「ぎゃー!!」

幸せだった。
優しい義父が。義妹で初恋の人がいる。
自分が捨てられた子だなんて忘れてしまうぐらい。
いつまでもこんな日々が続くんだと、信じて止まなかった。






そして幸せな日々ほど崩れ去るのは一瞬で。

もうその時はすぐ近くまで来ていた。