君が為に日は昇る

「馬鹿な…!まさか雷の化身だとでもいうのか…!…あっ!」


隊士は揃い驚嘆の声をあげる。しかし次の瞬間にはそれは悲鳴へ変わっていた。


━俺は裏でいいんだ。


足並みを乱した狼の群れに連合兵が準備した矢の雨が降り注いだのだ。


━さて、後は大丈夫だろうな。…行こう。

━奴が待っている。


夜太は戦いの行方を見ずに再び駆け出す。連合兵はその後ろ姿をじっと眺めていた。そして誰ともなく口をついた言葉。


「雷神がいた。」


夕陽は地平線の彼方へ、彼の姿はもう見えなくなっていた。










「敵襲!敵襲ぅぅぅがふぁ!?」


夜になり状況は一変した。連合が優位に進めてきた戦い。


それに痺を切らした一人の男が配下を従え、真田控える本陣に猛進してきたのだ。


幕狼は日暮れまでに次々とその数を減らしていった。それこそ虫の息と言ってもいい程に。


連合勝利は近いかに見えた。が、幕狼にはまだこの男がいる。双頭の狼の一匹。


「退け雑魚共。俺は機嫌が悪いんだよ。」


幕狼隊副長、陸野歳揮である。


「邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」