君が為に日は昇る

響いたのは小気味良い鍔鳴りの音。


「てめぇ…何者だ…。」

「…なぁに。只の老いぼれ、じゃよ。」


場所は変わり、とある米問屋の前で対峙するのは頭巾をつけた男と喜八。


足元には断ち切られたような跡の残る鎖と刃の折れた鎌。


「馬鹿な…。こんな馬鹿な…。」


そして血溜り。見れば男の脇腹からはとめどなく血液が流れ続けている。


「馬鹿…な…。」


己の血溜りの中、男は崩れ落ちる。


「悪いのぅ童。わしにはな。やらにゃいかんことがあるんじゃ。」


喜八は長くたくわえた白い髭を撫でながら呟く。


「さて。行くかね。」


上条が戦うであろう方角、清蔵が戦うであろう方角を仰ぎ見る。


もう決着はついたのだろうか。そんな事を頭に浮かべながら、喜八は歩き出した。


━待っておれよ…。今引導を渡してくれるわ…。


その表情、鬼神の如し。


喜八は一人、街の喧騒に飲み込まれていった。