君が為に日は昇る

━私が!恐怖を!?そうだ!この感覚だ!初めての感覚だ!これこそが!求めていた!もの!


直木の表情が狂喜に染まる。それと同時に彼の手元に戻る鎖分銅。攻撃の手が止まる。


「いやいや。愉快ですよ上条政次。貴方は全く愉快な男だ。」


隠しきれない興奮に身体を震わせながら鎌を上条に向ける。


「憧れてしまいますよ。その勇ましい気概。」


ここで上条もまた新たな感覚を得る。直木の殺気が増していく。狂気が膨れ上がっていく。


━ちっ。こりゃもう遊びはいれてこないだろうな。


先ほどまでは明らかに数発。己をおちょくるような一撃を混ぜ入れてきた。


つまりは余裕があったのだ。しかし今、直木はそれを捨てた。


渾身の力を持って上条を仕留めに来るであろう。


くるくると、くるくると、鉄塊は周り出し、一匹の大蛇へと姿を変える。


それは上条も同様。前に進み続けたここは既に己の間合い。一撃を放つことの出来る位置。


小太刀をぶらりと下げ、やや前傾の姿勢に構える。


さながら獲物を狙い定めた獅子の如し。



「じゃあ。死ね。」

「お前がな。」


瞬間風は弾け、地面は爆ぜた。