君が為に日は昇る

まともにぶつかれば岩をも砕く鉄塊。骨が砕ける小気味良い音が響く、ことはなかった。


「やはり、ですか…。」


空を切った鎖分銅を手元に引き戻しながら直木は呟く。表情は喜々とし、爛々とした輝きを見せる。


鉄塊を正にその顔面に受けんとした刹那、上条が行ったこと。


それは鎖分銅の軌道に合わせ首をぐるりと回転させた、只それだけのことだ。


最低限、最小限の運動で衝撃を殺す。それを追求した動き。


「あんだけ見りゃ合わせるなんざ簡単なんだよ。」


と、言うものの生半可なことでは無い。一種の賭けだった。もし成功しなければ首から上がなくなっていただろう。


気取られないように上条は溜め込んだ息を吐き出した。


━足はもう限界だし、鼻は痛ぇし。やんなるよなぁ。さて、どうすっかね。


不規則な動きを見せる鎖分銅。直木に近づくにはこの大蛇の群れをかいくぐっていかなければならない。


だがこのままならばじわじわ追い詰められていく。


攻撃は間違いなく至難の技。


それでも前に出なければならない。それでも勝たなければならない。


「さぁ、やろうぜ。」


足は自然と前に出た。