君が為に日は昇る

上条は隠密として培った情報網を活かし、藩からほど近い宿場で男も発見。


最初の勝負を挑むこととなる。


しかし、結果は引き分け。その後も再三に渡り勝負を挑むがその全てが引き分けという結果に終わっているのだ。


それは何故か。


それは直木の癖によるもの。


この直木梅花という男が、命のやり取りをしている最中に時折見せる異常な行動。


それは逃亡であったり、得物を捨てることであったり。形は様々である。


つまりは遊ぶのだ。


これが上条が直木を苦手とする理由の一つ。そしてもう一つ。


「いやいや楽しくなってきましたねぇ。」


もう一つは。


「すぐに四肢をもぎとってあげますよ。」


その技の特異性。


「…おっ?」


断続的に響いていたはずの音。いつしかそれは止まり、辺りを静寂に変える。


それはつまり、もう技を繰り出しているということだ。


瞬間、大地が砕けた。


遥か上空から飛来した鎖分銅は土煙をあげながら地面に突き刺さる。


既に間一髪、横に飛び退き避けていた上条は唇を軽く舐め。


「焦んなよ。ようやく俺も火がついてきたんだ。」


二本の刀を抜刀する。